「ヒュッテ名峰」仮設臨時小屋 名峰の世界

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私、名峰にはまってます 「日本の名峰」スタッフ 黒萩文

<<   作成日時 : 2008/04/17 08:30   >>

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 登山は学生時代に登った金時山のみ。山に関してはずぶの素人だった私がNHK「日本の名峰」スタッフに加わってから、もうすぐ1年になります。私は登山ロケには行かず、ディレクターのお手伝いをする仕事をしています。山ディレクターと聞くと、屈強で野暮ったい男をイメージしますが、実は名峰ディレクターのほとんどが妙齢で華奢な女性ばかりです。まずこの事実に驚きました!でも皆さん山に関してはプロ級で、細い腕と脚で平気で20キロ担いで登ってしまう、頼もしい方ばかり。そんな山女の先輩方に囲まれ、時にはしごかれしているうちに、気付けばどっぷり山の魅力にはまってしまいました。
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 働き始めた頃、山についてとにかく何か勉強しなければと思い、本屋で手にとったのが漫画「岳」でした。北アルプスで山岳救助のボランティアをする山男の三歩と、警察救助隊の仲間、それぞれの想いを持って山にやってくる人々との心の交流を描く実にシンプルなお話です。
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                        『岳』第6巻copyright石塚真一/ビッグコミックオリジナル
この漫画の最大の魅力は、主人公三歩のキャラクターに尽きると思います。最近の漫画によくみられるクールでニヒルなイケメンではなく、三歩は明るくおおらかでひょうきんで、とにかく泥臭い男です。時代の真逆をいくこの男は、現代ではもはやファンタジーに近い存在かもしれません。この男の思考回路は実に単純。「山が好き」、これのみ。だから山にやってくる人も好きなんでしょう。三歩は決して誰も否定しません。どんな登山者であっても肯定してくれる。そして最後は「よく頑張った」と抱きしめてくれる。まさに妖精みたいな奴です!
 「岳」では、山の厳しさも嫌という程見せつけられます。たくさんの登山者が三歩の腕の中で死んでいきます。山で生きる意味を見つけ帰っていく人と、命を落とす人。その両者を北アルプスの山と三歩は懐深くあたたかく包みます。不思議なことにこの漫画を読むと無性に山に行きたくなります。私もこれを読んで、北アルプスの山を生で見てみたい!という衝動にかられ、去年の秋奥穂高に登ってきました。(悲惨な結果でしたがそれはまた機会があれば。)山好きの人もそうでない人も素直に感動して楽しめる漫画だと思います。
 私の好きな三歩の台詞です。若い頃はよく山に登っていた中年のサラリーマンが、「今は山には登ってない。一つ手に入れたら一つ失う。それでちょうどいいんだよ。」と言うと、三歩は言います。「大丈夫大丈夫。失ってないよ、何も。穂高も屏風も北アルプスもぜーんぶ、今日もあるから。」

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